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よくあるご質問:糖尿病について

糖尿病について

HbA1cの数字を言われても、
良いのか悪いのか分かりにくいです。

HbA1cの数値はなかなかイメージしにくいと思いますが、良し悪しを判断する簡単な方法があります。ご自身のHbA1c値に30を加えて、HbA1cを体温に置き換えて例えてみてください。HbA1c 6%台の方は体温で例えると36℃台ですので、発熱はなくまずまずの状態と判断できます。

HbA1c7%台の方は体温で例えると37℃台となり、もう少し下げたほうが良いイメージです。 HbA1c8%台の方は体温で例えると38℃台の発熱ですので、要注意の状態です! HbA1c9~10%台は体温で例えると39~40℃の発熱に相当しますから、これは一大事ですね!

体温計のイラスト

HbA1cは、どのくらい下げればよいですか?

HbA1cを7.0%未満に維持しておくと、糖尿病に特徴的な3つの合併症(神経障害・網膜症・腎症)は起こりにくいとされています。したがってHbA1cを7.0%未満に維持することが、1つの目標となります。また脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化症は、血糖値が少し高いだけでも起こりやすくなります。したがって動脈硬化の予防のためには、低血糖を起こさない範囲で、HbA1cをできるだけ正常値に近付けた方が理想となります。HbA1cをどの程度まで下げればよいかは、お一人お一人の治療法やその他の病気の有無、低血糖症状の有無などによって少しずつ異なりますので、医師とよくご相談ください。

血糖値は正常なのに健康診断で
糖尿病予備軍と言われました、なぜですか?

糖尿病が発症する時は、空腹時の血糖値よりも食事の後の血糖値のほうが先に上がってくることが多いです。したがって、健康診断で採血をする場合は空腹時にすることが多いため、空腹時血糖値のみでは一部の糖尿病予備軍や軽症糖尿病の方(隠れ糖尿病)を見逃してしまいます。そこで最近の健康診断では、血糖値の約1~2ヶ月の状態を見る検査であるHbA1c値を合わせて測定することによって、糖尿病予備軍かどうかを詳しく判定しています。たとえ空腹時血糖が正常でも、HbA1cが5.5%以上と高目の場合には、平均的に血糖値が高いことを意味し、糖尿病予備軍や隠れ糖尿病である可能性を示しています。健診の結果で要注意などの指示が出たら絶対にそのままにせず、すぐに再検査や精密検査(糖負荷試験など)を受けましょう。

当院での再検査は、得られる情報の多い糖負荷試験をまずはご提案していますが、単純な再検査をご希望の場合においても、糖尿病の早期発見のためにあえて食後に検査を受けることと、HbA1cの測定もあわせて行うことをお勧めしています。

検査のイラスト

血糖値がなかなか下がりません、努力が足りないのでしょうか?

同じ糖尿病といっても、病態はお一人お一人により大きく異なります。食事療法や運動療法でとても血糖値が下がる方もいらっしゃいますし、食事療法や運動療法をがんばってもなかなか血糖値が下がらない方もいらっしゃいます。日本人はインスリンの出がよくない方が多いので、飲み薬が必要な場合も多いのですが、飲み薬にもさまざまな種類があるため、お一人お一人に合ったお薬を選択する必要があります。糖尿病の治療は努力を要するところもありますが、ご自身に合った治療を選択することがとても大切です。

私たち糖尿病の専門家の仕事は、皆さまの根性をたたきなおすことではなく、何をすれば、どう工夫すれば、皆さまが豊かに長生きしていけるかを、ご一緒に考えていくことだと当院では思っています。

医師と患者様のイラスト

糖尿病の治療を始めてからは体調もとても良いのですが、
まだ通院しなければなりませんか?

糖尿病は、基本的には自覚症状は無いといっても過言ではありません。逆に口渇・多飲・多尿・全身倦怠・体重減少などの症状はかなり長い間、高血糖を放置していないと出てこない症状です。合併症も同様で、初診時にすでに神経障害や眼底出血が見つかった場合でも、ご本人は特に症状を自覚していないことが多いです。治療を開始すれば自覚症状自体は比較的短期間で消えますが、それはあくまで当初の緊急事態を脱したに過ぎません。将来に糖尿病の合併症で困らないように継続的なコントロールが必要で、決して自己判断で治療を中止してはいけません。

糖尿病は治る病気ですか?

治療(食事・運動・飲み薬・インスリン注射)をしっかり行うことで血糖値を良くすることができますが、残念ながら血糖値が上がりやすい体質自体はなくなったわけではないので、引き続き良い血糖値を保っていく必要があります。

しかしきちんとコントロールすればご自身を守っていくことができるご病気であり、糖尿病ではない人と同じように、あるいは糖尿病ではない人以上に健康に暮らすことができます。したがって「治る」「治らない」という表現は、糖尿病においては適切ではないかもしれません。

運動しているイラスト

親が糖尿病だと遺伝しますか?

糖尿病そのものが遺伝するわけではありませんが、たしかに糖尿病になりやすい体質は遺伝する場合があります。日本人の糖尿病患者の90%以上を占める2型糖尿病では、片親が糖尿病の場合にそのお子さんが糖尿病になる確率は27%、両親が糖尿病の場合の確率は58%という報告があります。しかしご家族に糖尿病の方がいるからといって、全員の方が糖尿病になるわけではありません。「過食や運動不足などの生活習慣の乱れ」と「糖尿病の遺伝体質」とが重なった時に、はじめて糖尿病が発症する確率が高くなります。

糖尿病の遺伝体質を持っていると思われる方は生活習慣の乱れも重ならないように意識することが大切となりますが、ご家族に糖尿病がいない方でも遺伝体質以外の糖尿病発症危険因子を油断しないことは当然必要です。

親子のイラスト

糖尿病妊婦の胎児に及ぼす影響を教えて下さい。

血糖コントロールが不良のまま妊娠した場合、胎児に先天性の異常が生じる心配があります。また妊娠中の糖尿病治療は、胎児への安全性などを考慮して糖尿病の飲み薬は使用せず、原則はインスリン注射で行います。

したがって糖尿病の患者さんが妊娠を希望される場合は、事前に血糖値をしっかりコントロール(必要に応じてインスリン治療を開始)してから、計画的に妊娠するようにアドバイスさせていただいております。

妊婦のイラスト
糖尿病の食事・運動療法について

炭水化物はあまり摂らない方がいいですか?

炭水化物を摂らなければ、糖尿病を予防できるというのは誤りです。また糖尿病の食事療法として糖質制限を始められる方もいらっしゃいますが、長期的には体重のリバウンドや血糖値などの悪化を認めることも多く、十分な注意が必要です。当院としては地味で基本的なことですが、バランスよく食事をすることがやはり大事と考えております。

食品のイラスト

糖尿病では飲酒はダメですか?

いいえ。肝臓のご病気がある方などの一部を除けば、当院では糖尿病の患者さんでもアルコールの摂取は問題ありませんと指導しています。実際、飲酒量が適量であれば、その患者さんの糖尿病の療養にプラスに働いていると感じる例もあります。糖尿病で摂ってはいけない食品は基本ありませんので、楽しみながら上手にコントロールできるよう、一緒に考えていきましょう。

お酒のイラスト

カロリー0の甘味料や飲料ですが、使っても大丈夫ですか?

基本的にその甘味料だけで血糖が上昇することはありません。ただし、たくさん使って濃い甘さ・濃い味に慣れてしまうと、食事療法そのものが乱れてしまうこともありますので、やはり適度な量を使うことが大切だと思います。

飲料のイラスト

「血糖値の気になる方へ」という健康茶の広告を見ますが、
飲み続けると本当に血糖は下がるのですか?

健常人を対象にしたデータで食後血糖値の上昇を穏やかにすることが認められていますが、あくまでも糖尿病の一次予防の手段として期待されるというだけで、糖尿病の治療薬に代わる効果まで得られるものではありません。厚生労働省が特定保健用食品と肩書きがあると過大な信頼をしてしまうかもしれませんが、主治医に相談の上で正しく上手に併用することが大切です。

健康茶のイラスト

運動しなくても飲み薬だけでHbA1cは6%台と良好です。
それでも運動をする必要はあるのでしょうか?

運動をすることは、単にエネルギーを消費して血糖を下げるだけでなく、エネルギーを燃焼する代謝を良くする潤滑油の役割もあります。運動をあまりせずに薬だけで血糖値を強制的に下げていると、代謝が悪いために筋肉では糖があまり使われず、余った糖が脂肪細胞に貯め込まれてしまうため、肥満を助長してしまいます。その肥満が動脈硬化を進めて心筋梗塞や脳卒中を引き起こすことになるため、やはり適度に運動もなさったほうが健康には効果的です。

糖尿病の薬物療法について

一度インスリンを始めると、
一生続けなければいけないのでしょうか?

一般的にはそのように思われている方が多いですが、実際にはいろいろな場合があります。まず1型糖尿病では生存のためにインスリン注射が不可欠ですので、残念ながら中止はできません。2型糖尿病においては、インスリンでの治療を始めるとご自身の膵臓からのインスリンの出具合が復活してくることがあり、その場合にはインスリン注射をやめることができます。一定期間だけインスリン注射で治療した後は、飲み薬に切り替えて治療を続けることが多いですが、食事・運動療法だけでも十分に血糖値が安定される方もいらっしゃいます。インスリン注射をやめられるかどうかは、糖尿病になってからの期間が重要となってきますので、早い段階でインスリン注射を始めていただいた場合に、インスリンをやめられる可能性が高い傾向が見られます。

逆に糖尿病を長い間放置していた場合や、飲み薬でコントロールできないにもかかわらずいつまでも様子を見ていた場合には、インスリンを続けていく可能性が高い傾向にあります。

体温計のイラスト
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